宮古島の唯一の飲み水は地下水なのです。
そして、地下水は無限ではありません!
地下ダムは農業用水であり、
飲料用ではありません。
使える地下水の量が少なくなっている可能性があります。
2016年までは地下水の水収支バランスは健全でした。
ところが、ここ数年で宮古島の観光客入数も40万人から110万人に増え、
さらにホテルや公共施設、自衛隊施設など建築ラッシュにより、大幅に水の消費が増加しています。
2017年は、1日で使える最大水量にせまる消費となっています。
宿泊観光客増加の増加や駐屯地人口の増加により、水消費と生活排水の増加が続きます。
夏場の断水が心配です。
降った雨の半分未満しか、宮古島の地下水にはならないと言われています。
1日で最大使う水の量が1年で10%も増加しています。
しかし、今後も適度の雨が続き、利用できる地下水の量が
増え続ける保証はありません。
大干ばつはいつ襲ってきても不思議ではありません。
降った雨を地下へ誘導するものが必要です。
その役割をしているのが、森林やドリーネ(ミズヌンアブ;石灰岩の穴)です。
ところが、近年の建設ラッシュや開発で森林やドリーネなどが急激に減っています。
宮古島では戦後、3度の大渇水が発生しました。
1962年、1971年、1993年です。
過去、おおよそ25年~30年おきに発生しています。
又、数年前に50年に1度の記録的大雨がありました。
大雨の後に大渇水が発生する傾向があります。
1993年から既に26年経過しており、いつ起きてもおかしくない状態と言えます。
硝酸性窒素は、30年前の汚染危機時に比べ減少しています。しかし、今後、急速な観光客や人口の増加により目にみえないところで再び汚染が進んでいく可能性が高いのです。
この物質が高い濃度の水道水を乳児が飲んだ場合、
全身が紫色になり酸素不足になる病気の原因となります。
他にも、小児1型糖尿病発症のリスク増加の可能性が示唆されています。
また、海へ流れ出した地下水は、現在検出されている硝酸性窒素の濃度でも、サンゴや海洋生物へ悪影響を及ぼすことが、既に専門家から指摘されています。
まず1つは、不適切な時期にまかれた化学肥料です。
さとうきび等の農作物に吸収しきれなかった場合、地下水へたどり着き硝酸性窒素を増加させます。
2つ目は家畜の尿や便です。不適切に処理されると土壌から地下水へたどり着き、硝酸性窒素を増加させます。
3つ目は生活排水です。通常は下水道で処理されますが、この下水道を利用できるのは全人口の16%だけで、
他は地下水へ流れていきます。
自衛隊施設の大量の排水には、鉛等の重金属、種々の化学物質が含まれており、地下水汚染リスクが高まります。
沖縄本島では、米軍基地由来とされる有機フッ素系化合物(PFOS)による水質汚染が問題となっています。
上記のような危機があり、現在の地下水管理の仕組みを強化していく必要があります。
2014年、20年間宮古島の水質保全に大きな役割を担ってきた調査報告書が行政判断で中止されました。
この報告書では、水道使用量だけでなく硝酸性窒素濃度の状況から、農薬調査まで多くの調査報告がなされた大変有意義なものでした。
地下ダムができて以来、地下水の管理体制は、地下ダムは国と土地改良区、水道水源は市と大きく2つに分けられました。
ところが、肝心の地下水の状態についての情報共有はできていません。
また、行政は宮古島には33の地下水流域があると捉えています。
利用できる地下水の量が限られている中、宮古全体を1つの地下水源として情報共有やしくみづくりが必要です。
地下ダムの水は飲用ではありませんので、硝酸性窒素濃度や重金属等の水質検査義務はありません。
しかし、大干ばつ時には、水道水としての利用が必要な事態となります。
国は、水道水への転用をすぐに許可するでしょうか?
飲用としての水質は保たれているのでしょうか?